アリ・マルコポロス写真集『Denied』は、彼の卓越した写真観を集約して見せる。それは、フランクに親密で自然で、究極的にいえば、イメージが並べられたときに意味を重ね持つことについてのほとんど映画的な理解である。仕事、旅、そして芸術的コラボレーションの日記のような記録である本書は、マルコポロスのすべての作品同様、われわれが生きている「今」という瞬間の証明であり、「今」が他の時間や場所と結ぶのっぴきならない関係の証言でもある。『Denied』は一面では、写真家がニューヨークからロンドンに立ち寄って、アテネへ行く旅の記録である。アテネは、マルコポロスが子どものころ休暇のたびに訪れ、親戚といっしょに過ごした場所である。彼はおじに連れられ、サッカーチーム・オリンピアコスの試合を見に行った。スタジアムは古代ギリシャの競技場に似ていて、ただ大理石の観客席をコンクリートのスタンドに取り替え、昔は土の地面だったピッチに手入れした芝を植えただけだと彼は思った。マルコポロスのこの写真集は、そんなアテネの二つの相貌の記憶を呼び覚ます。今、この都市ではほんのわずかな地区にのみ豊かさが隠匿され、それ以外は崩壊している。W21.3 x h28 cm64 ページ66 イメージ(白黒)並製本(手綴じ)白黒オフセット印刷限定800部Published in 2021一度観ただけです。サイン入りのポストカード付き。